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2014年5月10日土曜日

微分方程式講義 VII

3章の補足


3.5 オイラー - ベルヌーイの 微分方等式 

この節では、 教科書では述べられてないが、求積法によって解くことのできる変数係数

2階線形方程式の例として オイラー - ベルヌーイ型 の方程式をあげよう。 

この方程式は、一般のn階方程式に議論を拡張できるが、ここでは簡単のため 

n=2 として説明しよう。  a,  b を定数として2階の変数係数方程式

(3.23)    x²y'' + axy' + by  = 0 

オイラー - ベルヌーイの 微分方等式 という 。 以下変数 x > 0 とする。

この微分方程式の解は、べき関数を一般解としてもつことが知られている。 y = x     とおいて

(3.23)  に代入すると、

                   x²m(m-1)xm-2  + axmxm-1 + bx   =  xm  {m(m-1) + am + b} = 0  

このことより m は2次方程式

 (3.24)     m(m-1) + am + b = 0

の根となるように取ればよい。  (3.24)  を (3.23) の特性方程式 という。

 (3.24) は、2根 m₁, m₂をもつからそれらに対応する解が 基本解 になる。 

 (3.24) の判別式 D = (a-1)² - 4b  とする。



定理 11 (i)  D > 0 のとき、  (3.24) の相違な2実根を α , β とおくと、 

微分方程式 (3.23) の一般解は、

  (3.25)                   y = C₁xα  + C₂xβ 

で与えられる。

  
 (ii)  D = 0 のとき、  (3.24) の重根を α とおくと、 

微分方程式 (3.23) の一般解は、

  (3.26)                  y =  (C₁+ C₂log x) xα 

で与えられる。

 (iii)  D < 0 のとき、  (3.24) の相違な2虚根を α ± βi  とおくと、 

微分方程式 (3.23) の一般解は、

 (3.27)                y = xα  [C₁cos (β log x) +  C₂sin (β log x ) ] 

で与えられる。


 (証明) (i)   y₁= xα  と  y₂= xβ  が解になることは、確かめた。

 y₁と y₂の一次独立性を示すために、ロンスキアンを計算しよう。 すぐに


W[xα , xβ ] = (β - α)xα+β-1   がわかるので、α ≠ β  よりロンスキアンは恒等的に 0 でない。

したがって xα  と  xβ  は一次独立になり、 (3.23) の一般解は (3.25) で与えられる。


(ii)  y₁=xα  が解になることは明らか。 xm を方程式に代入して計算すると

                           x²(x )'' + ax (xm )' + b x   =    {m(m-1) + am + b} xm   

が得られる。 したがってこの式を m で微分すると   xm  = exp(m log x)  より 

dx/dm =  log x exp(m log x) =  x log x に注意すれば                 

     x²(x log x)'' + ax (x log x)'  + b x log x = (m - α) {2 + (m - α)log x}xm  

となり、  m = α を代入すると、 (xα log x)'' + ax (xα  log x)'  + b xα  log x = 0


つまり、 xα  log x も (3.23) の解。 xα  と xα  log x の一次独立性の証明は 定理2の証明と

同様である。 したがって、この場合の一般解は、(3.26) で与えられる。


 (iii)  複素根を持つ場合、

 y₁ =  xα+βi ,  y₂= xα-βi が2つの一次独立な解になる。  xβi  = exp(i β log x)  なので

 オイラーの公式    exp(iβ log x ) = cos (β log x) + i sin (β log x)    をつかうと、

y₁ =  xα+βi  = xα xβi   =  xα  [cos (β log x) + i sin (β log x ) ] ,

y₂ =    xα-βi   = xα x-βi   =  xα  [cos (β log x) - i sin (β log x ) ] , 

とかける。 したがって、 y₁と y₂の線形結合

(y₁+ y₂)/2 = xα  cos (β log x) ,      (y₁- y₂)/2 i =  xα  sin (β log x)     を考えると

結論にある2つの一次独立な解が得られる。 一次独立性の証明は定理2と同様にしてできる。

 例をあげよう。 


つぎに非斉次方程式を考える。

定数変化法により、定理7と同様にして次の定理をうる。 証明は演習問題とする。


定理 12  斉次方程式 (3.23)  の基本解系を y₁, y₂ とする。 このとき非斉次方程式

(3.28)    x²y'' + axy' + by  = f(x) 

 
 の一般解は、 

(3.29)     y =  y₁( - y₂f(x) / x²W[y₁, y₂] dx + C₁) 

              + y₂( y₁f(x) /x² W[y₁, y₂] dx + C₂) 

 で与えられる。 

 最後に例を1つ与える。



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