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2016年6月22日水曜日

微分方程式講義(2016年版)XI

昨年度の講義原稿とほぼ同じであるが、細かい記号の修正と見やすい工夫を行っている。時間の制約があり、大幅な書き直しは無理な状況にある。申し訳ないが仕方ないですね。

4.2 基本解とロンスキアン 



この節では、ロンスキアン  を使って、3章2節と同様の結果が1階の変数係数連立微分方等式 

に対しても成り立つことを示す。 簡単のため、2未知変数の場合を考える。 

つぎの斉次連立微分方程式を考える。


(4.21)              y1' =  a11 (x)y+  a12 (x)y
                         y2' =  a21 (x)y1   +  a22 (x)y2   

ここで、 aij (x)  (i, j =1, 2)  は 区間 I 上の連続関数とする。  


(4.21) のベクトル表示を与えよう。


この事から、 |W(x)|  は 区間 I 上で恒等的に 0 か または決して 0 にならない事

がわかる。
|W(x)| ≠ 0,   x ∈ I  のとき、 つまり W(x) が I 上で正則のとき、 

y1,   y2  は I 上 で独立になる。 このとき、 W(x) を (4.21) または (4.22) の 基本解  

もしくは、 解の基本形系   という。  

くどいが、 |W(x0)| = 0,   ∃x0 ∈ I  のとき、 y1,   y2  は I上 で一次従属になることを

確かめよう。

このとき、共に 0 でない定数 C1,    C2    をとって、  C1 y1(x0)  +  C2  y2(x0)  = 0   

とできる。 

 今  y = C1 y1  +  C2  y2   とおくと 、 y' = A(x)y   かつ  y(x0) = 0  より、

初期値問題の解の一意性(次章で説明)から y(x) = 0,   ∀x∈I となり、  

C1 y1  +  C2  y2  0  がいえるので  y1,   y2  は一次従属。 


さて、 y1,   y2 を (4.22) の基本解とする。 

(存在については、|W(x0)| ≠ 0,   ∃x0 ∈ I なるものを選べばよい) 
 

さらに y を (4.22) の勝手な解とする。  このとき |W(x)|  ≠ 0,  x ∈ I  であるから、

行列式論の クラーメルの公式 により I 上の関数 c₁(x),   c₂(x) で、
 

(4.24)         c₁(x) y₁+   c₂(x) y =  y      

  
となるものが存在する。 c₁(x),   c₂(x) が微分可能なことは、明らかだろう。

 
 (4.24)  を微分して (4.22) を使うと、

(4.25)      A(x) y = y' =   c₁(x) y' +   c₂(x) y' +  c₁'(x) y₁+   c₂'(x) y

                            =   c₁(x) A(x)y₁ +   c₂(x)A(x) y₂ +  c₁'(x) y₁+   c₂'(x) y

                            =  A(x)( c₁(x) y₁ +   c₂(x) y₂)  +  c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y

                            =  A(x) +  c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y

よって

 (4.26)       c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y₂= 0      

がしたがう。 ここで、 y1,   y2  は一次独立であったから、 

                  c₁'(x)  ≡ 0,   c₂'(x)  ≡ 0    

となり、 c₁(x) = C1,   c₂= C2,   (  C1,   C2 は定数) となる。 すなわち、

(4.27)         y  = C1 y₁+   C2 y     

と書ける。 すなわち、次の定理がなりたつ。



定数変化公式

 
 次にロンスキアン W(x) = W[y1,   y2 ](x)  を用いて 非斉次方程式

(4.28)      y' =  A(x) y + f (x),        f (x) = (f1(x), f2(x))t
      
    

の一般解を定数変化法を用いて 3章2節と同様にして求めよう。

(4.29)              y   =  c₁(x) y₁+   c₂(x) y     

の形で (4.28) の解を求めよう。 (4.29)  を微分して (4.28) を使うと、先と同様の計算により

      y'  =   c₁(x) y' +   c₂(x) y' +  c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y

        =   c₁(x) A(x)y₁ +   c₂(x) A(x)y₂ +  c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y

        =  A(x) +  c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y

         =  A(x)f (x)

 となり、最後の2式より  

(4.30)         c₁'(x) y₁ +    c₂'(x) y₂ =  f (x)

 がしたがう。 よって クラメールの公式により





 



4.3 高階の微分方程式と連立微分方程式 


ここでは、単独の n階微分方程式を連立微分方程式に直すことを考える。

(4.31)        y(n) + a1(x)y(n-1) + ・・・ + an(x)y  = f(x)

に対し

(4.32)         y1 = y,   y2 = y(1),   ・・・・ ,  yn = y(n-1)

とおくと、 y = (y1,   y2,   ・・・・ ,  yn )t     に対するベクトル微分方程式


一般に、 A(x) を n×n  行列関数として、 n未知変数の連立微分方程式

(4.34)     y' = A(x)y  + f(x)

を考えよう。 (4.34)   の斉次形 y' = A(x)y   の n個の解 

y1   y2 ,   ・・・・ ,  yn  に対し 

(4.34) の ロンスキアン W(x) = W[ y1   y2 ,   ・・・・ ,  yn](x)  を 

行列式 |(y1  y2,   ・・・・ ,  yn )|  により定義する。 

この定義の下で、 (4.32) より (4.31) に対するロンスキアン と 

(4.33) に対するロンスキアン一致することがわかる。

このように、連立一次微分方程式を考察することは、

高階の微分方程式を考察することにつながる。

   

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